14 Years
イジー自らが語った、ガンズを去った経緯の一部です。
なぜ脱退したのか、というと、オレはもうバンドの中でうまくやっていけなくなったからなんだ。その頃のオレにとってガンズ・アンド・ローゼズは、もう自分がいられる場所ではないという気持ちだった。
「この前やったツアーまでは、バンドを辞めるなんて本気で考えちゃいなかった。でも2時間も3時間も遅れてステージに上がるのが、ギグに来てくれる大勢の人たちに対してフェアだとは思えなかったんだ。とにかくいいことじゃない。それがアクセルってヤツなんだし、あいつの仕事のやり方なんだけど、オレにはそれじゃよくなかったし、ファンに対してもそれでいいとは思えなかった。そんな事が4ヶ月もツアーに出てる間に気に障ってきてさ。プレッシャーも相当かかってきたんだと思うよ。だけど要は、目指す場所があり、やらなきゃいけない事があるんなら、やるしかないってことなんだよ。それがオレの考えだ。」
「個人的な好みから言えば、オレは単に5人編成でやったほうが楽しめるんだ。だから実際、以前は楽しんでいたんだよ。オレはバック・コーラスだのホーン・セクションだのを加えてからのGN'Rのショウには参加していないから、それに関して何だかんだとは言えないんだけど、個人的には5人組のただのロックン・ロール・バンドのほうが好きだよ。ああいう大掛かりなステージは、オレにとってはどうでもいいものだ。ただもうグチャグチャしてるって感じだろ? 込み入ってしまっていて、とにかく人が多すぎるんだ。」
「バンドの将来がどうなるのかって聞かされて、その晩は随分長いこと考えたんだ。で、次の朝目が覚めた時には、辞めるって決めたんだ」
■ GN'R在籍時、イジーがインタビューで成功について問われている部分の回答 ■
素直な気持ちは、恐ろしいの一言。1週間前にアクセルと一緒にニューヨークからインディアナ州ラファイエット行きの飛行機に乗ったんだけど、到着する飛行場の周りには人だかりができちゃって大変な騒ぎだった。特にさ、アクセルのヤツは目立っちゃうものだから余計にクレイジーな状態になってしまったんだ。アクセルのファンって、まるで奇妙な宗教みたいに熱烈なんだ。まあ、これはこのバンド全体に言えることだけど。あそこまでいくと病気だな。だって握手して欲しいとか、サインが欲しいんじゃなくて、いきなり奇声を上げたかと思うと髪の毛を引っ張られたり、家に忍び込んだかと思えばホテルの部屋まで入ってくる。気が狂っちまうよ。こっちも気を使っていないと何が起きるか分からないから、すごく疲れる。
窓ガラスをぶち抜かれたこともある。はっきり言ってオレの家の窓ガラスを割って何が面白いのかと思うね。
ミュージシャンとして自分自身でコントロール出来る限界を、ガンズ・アンド・ローゼズは超えちまった。それはクラブで地味にプレイしていれば問題は無いけど、でっかいスタジアム級の会場じゃ話は別さ。そういうエネルギーって、たまに恐ろしくなる。それに、バンドにかかわってくる巨額の金といったら……ストーンズのツアーにしろ、いったいプロモーターは次にどういう話をふっかけてくるのかと思うと怖くなるよ。
イジー作曲、または深く関わっているGN'Rナンバー
Appetite For Destruction
Welcome To The Jungle ◆
Nightrain
Out Ta Get Me
Mr. Brownstone
Paradise City ◆
My Michelle ◆
Think About You
You're Crazy ◆
Anything Goes
Rocket Queen ◆
GN'R Lies
Reckless Life
Move To The City
Patience
Used To Love Her
Use Your Illusion I
Right Next Door To Hell
Dust N' Bones
Don't Cry
Perfect Crime
You Ain't The First
Bad Obsession
Double Talkin' Jive
November Rain ◆
Bad Apples ◆
Use Your Illusion II
14 Years
Shotgun Blues ◆
Pretty Tied Up
Locomotive ◆
You Could Be Mine
◆印が付いた曲は他のメンバーとの共作。C誌に掲載されていたマネージメント(ストラヴィンスキー)が新たに発表したリストに基づいたもので、アルバムクレジットとは多少異なるようです。
上の表を見ると、イジーがソングライターとしてどれほどGN'Rにとって重要な人だったのかが分かる。名曲といわれる大半の曲は、イジーがキッカケとなり作られたものが多い。元GN'Rのマット・ソーラムもインタヴューで以下の様に語っている。
「最初の2作の素晴らしいアルバムにおいて(この2作とはアペタイト、ユーズI&IIを指す。ライズ、スパゲッティは、ちゃんとしたアルバムだとはバンドは思っていない、とのこと)、主要なソングライターだったのはイジー・ストラドリンなんだぜ。イジーというリンクを失った俺達は、曲作りのコツみたいなものを失ってしまったんだよ。
GN'Rの曲作りとは、イジーがシンプルなリフを持ってきて、そこにダフとスラッシュが加わっていったり、シンプルなコード進行に乗せてスラッシュがリフを刻んだら、それが例えば"You Could Be Mine"になったり…。あれだって元々簡単な作りだったものを、スラッシュが「こうやったらどうかな」とか、そんな感じで俺達はいつもやっていたんだよ。「ここにこういうドラム・フィルを足したらどうだろう」とか、やってみるうちに曲になる。だから、イジーを失った時に、曲作りにおけるお互いの絆みたいなものも失われてしまったんだ、とオレは考えている。」
一方、イジーの後任としてGN'Rに加入したギタリスト、ギルビー・クラークの証言によると
「彼(アクセル)は、いつも「イジーが必要だ」と言っていたが、イジーが辞めた後はデイヴ・ナヴァロ(元ジェーンズ・アディクション)を入れたがった。でもデイヴ・ナヴァロはバンドに入りたがらなかった。そしてオレがその仕事をすることに決まったんだ。」
Axl & Izzy
■ あいつはオレに多くの影響を与えてくれたよ。バンドの中で一番”新しもの好き”みたいなところがあって、時々突飛な洋服を着ていたりすると、その1年後にはオレ達全員がそのマネをしている…そんな具合なんだ。あいつは早いんだ、そういうのが。
オレ達の場合、もうもの凄く長い付き合いになるけど、何かまだ知り合った時のままのようで、未だにティーンエイジャーの悪ガキ仲間みたいな関係でいるような気がするよ。一緒に成長してきたしね。
知り合った時、イジーは何もプレイしていなかったんだ。だってオレ達が知り合ったキッカケはスケートボードだもん(笑)。インディアナのスケートボード・ショップで会って、一緒に組み立てたりしているうちに仲良くなったんだ。で、ある日のパーティーでオレがピアノを弾いているのをあいつが見て、「バンドをやってみようぜ!」ってことになった。それからオレの家に来て、たまたま流れたのが ANGEL CITY 。そしたらあいつは大喜びして、部屋じゅうスケボーで飛びまわるんだ(笑)。その後、オレはギターをやってイジーはドラムスにチャレンジした。(1988 - Axl)
■ あいつとオレはとは、正反対とは言わないまでも、何かこう…ジグソー・パズルみたいにうまくかみ合ってるんだ。あいつがオレを失望させることもあれば、オレがあいつをガックリさせることもある。あいつが困っていればオレが助けてやるし、オレがあいつの助けを必要とすることもある。オレはあいつを信頼しているのさ。だからこそ、こういう関係が成り立つ…。(1988 - Izzy)
■ 1980年、アクセルより一足先にロスに来ていたイジーの元にアクセルが現れる。
「ザック一つ担いだアクセルが雨の中、ずぶ濡れになってオレの家の玄関の前に姿を現したんだ。オレを探すのに、1ヶ月も街を歩き回ってたと言うんだよ。要するに、ロスがこれほど大都会だったとは知らなかったんだな。で、それからというものは、何年間か貧乏街を移り住み続けながら、もう今日も明日もないという勢いで曲を二人で書き続けていったよ。毎晩のようにもの凄くアップ・ビートで、気が狂ったような音楽を絶え間なく書き続けたよ。それからまるっきり間に合わせのような Hollywood Rose というバンドを組んでさ、クラブのオーナーに『500人は固いね』なんてハッタリかまして、実際には20人しか客が来なかったりしてさ。そういう時は、もうギャラは食い上げだったけど、そうやってだんだんとやり方を掴んだんだ。」(1988 - Izzy)
■ 曲を書くときのことを聞かれて
「特に決まりはないんだ。スラッシュが適当にギターを弾いて、あいつの演奏に合わせて、オレもアイディアを出していく、と言う感じかな。お互いにやる気をさせながら、やっていくというふうだな。イジーと一緒だと、もうメチャクチャ早いんだよ。イジーとだと、楽しい曲もいろいろと出てくるんだよね。」(1988 - Axl)
アクセルはイジーが脱退した後は、インタビューやライブでイジーへの怒りをあらわにしていましたが、一方では「オレはイジーの大ファンなんだぜ」とも語っています。
2001年、ロックインリオⅢに再び姿を現したガンズ・アンド・ローゼズ、その時もイジー自らが明かしたところによると、「アクセルが『ロックインリオ』で一緒にプレイしないかと言っている」とダグ・ゴールドステインから電話があったという話です。
イジーは何処へ行く?
● アクセル&オリジナル・ガンズアンドローゼズ
聞くところによると、未だにいい声をしているそうじゃないか。クールなんじゃないかい? だからこそ未だに人は彼のステージを見たいんだよ。オレとスラッシュとダフはいつでも集まれるし、そこにスティーヴンを入れることだって可能だと思うよ。この4人が一緒になって、最高の曲を10曲レコーディングすることは出来ると思うんだ。じゃあこのバンドを果たしてなんと呼ぶか、となると、GN'Rじゃないんだよ。アクセルしか…昔のあのバンドを復活させることは出来ないんだ。
結局、人が求めているのはアクセルがヴォーカルを取ることだろう? 彼は最高のヴォーカリストだったから、彼の代わりなんていないんだ。(2002 - Izzy)
● 現在のイジー
スラッシュ、ダフ、マットのいる Velvet Revolver に関係したり、スティーヴンのSuki Jones、マットの参加している Camp Freddy のライヴにゲスト参加したりと元メンとも適当にツルミつつも、自身のソロ・アルバムを作ったりと、気ままな活動を続けている。
2006 Guns N' Roses with Izzy Stradlin
■ 2006年5月、NYから始まったGuns N' Rosesのツアー。17日にイジーがゲスト参加(1993年のギルビーのケガによる一時復帰以来、実に13年振りにアクセルとステージを共にする)。この時伝えられたニュースによると、『二人は曲を始める前にハグを交わし、会場に居た目撃者によれば、「Patience」を演奏するイジーの目は潤んでいたという。』
以後ヨーロッパ・ツアーにも参加し、すべての曲でプレイはしていないものの、旧曲でステージを共にした。
以下、イジーが参加した日と曲のリスト。
【New York】
2006/05/17 - New York City, NY @ Hammerstein Ballroom
Think About You, Patience, Nightrain
【Europe】
2006/06/11 - Donington, UK @ Donington Park (Download Festival)
Think About You, Smoke On The Water(intro) / Patience, Nightrain, Used To Love Her, Paradise City
2006/06/13 - Prague, Czech Republic @ Sazka Arena
Think About You, Patience, Nightrain
2006/06/15 - Warszawa, Poland @ Stadion Legii
Think About You, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/06/17 - Burgenland, Austria @ Pannonia Fields II (Novarock)
Think About You, Used To Love Her, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/06/20 - Paris, France @ Palais Omnisports de Paris-Bercy
Used To Love Her, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/02 - Nijmegen, The Netherlands @ Goffertpark
Patience, Think About You, Nightrain, Paradise City
2006/07/08 - Oslo, Norway @ Spektrum
Think About You, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/10 - Malakasa, Greece @ Terravibe (Rockwave Festival)
Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/12 - Istanbul, Turkey @ Kurucesme Arena
Think About You, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/14 - Bilbao, Spain @ Kobetamendi (BilbaoLive Festival 2006)
You Have To Move(blues cover), Think About You, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/15 - El Ejido-Almeria, Spain (Natural Music Festival)
You Gotta Move(Rolling Stones Cover with Del James), Think About You, Patience, Paradise City
2006/07/18 - Sheffield, UK @ Hallam FM Arena
You Gotta Move(Rolling Stones Cover), Think About You, Patience, Nightrain
2006/07/19 - Newcastle, UK @ Metro Radio Arena
You Gotta Move(Rolling Stones Cover), Think About You, Patience, Nightrain
2006/07/21 - Glasgow, UK @ SECC
Think About You, Used To Love Her, Patience, Nightrain
2006/07/23 - Manchester, UK @ MEN Arena
Think About You, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/25 - Birmingham, UK @ NEC
Used To Love Her, Patience, Think About You, Nightrain
2006/07/27 - Nottingham, UK @ Nottingham Arena
Used To Love Her, Think About You, Patience, Nightrain
2006/07/29 - London, UK @ Wembley Arena
Sway(Rolling Stones Cover), Sailing(Rod Steward Cover), Back In The USSR(The Beatles Cover), Think About You, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/07/30 - London, UK @ Wembley Arena
You Gotta Move(Rolling Stones Cover with Del James), Patience, Nightrain, Paradise City
【North America】
2006/12/17 - Universal City, CA @ Gibson Amphitheatre at Universal CityWalk
Think About You, Used To Love Her, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/12/19 - Universal City, CA @ Gibson Amphitheatre at Universal CityWalk
Think About You, Used To Love Her, Patience, Nightrain, Paradise City
2006/12/20 - Universal City, CA @ Gibson Amphitheatre at Universal CityWalk
Think About You, Patience, Nightrain