ZODIAC
[ZODIAC 112] (1CD+2DVDR)
DISC 1
1988.08.20 Castle Donington, England
DISC 2
1988.08.20 Castle Donington, England
COLOUR NTSC Approx.24min.
DISC 3
1988.08.07 Orange County Fairgrounds, Middletown, NY. USA
COLOUR NTSC Approx. 47min.
LANGLEYレーベルからリリースされた「Don't Fuckin' Kill Each Other」のリマスター盤。最初の160枚のみ、ナンバリング入りステッカー付でのリリース。
[メーカーインフォ]
たとえGUNS N' ROSESの録音が何百・何千と溢れていようとも、“特別中の特別”となったら本作しかあり得ない。そう、2名の死者を出した悲劇の“MONSTERS OF ROCK 1988”がプレスCDで蘇りました!
GUNS N' ROSESが聖地ドニントンの舞台に立ったのは、時代の寵児として全世界を席巻していた1988年でした。音楽業界をひっくり返す衝撃のデビューを飾ったとはいえ、まだキャリアの浅い彼らは2番手の出演。しかし、そこで名門“MONSTERS OF ROCK”の歴史さえも変える死亡事故が起きてしまったのです。
当時からこのショウの録音はありましたが、どれも音質の厳しいものばかりでした。その状況を一変させたのがCrazy S.氏が録音し、2002年にLANGLEYレーベルからリリースされた「"Don't Fuckin' Kill Each Other"」だったのです。あまりにクリアなサウンド&ノーカット収録に、世界中のマニアが震撼。「スーパー・テーパー“Crazy.S”ここにあり!」を世界に轟かせ、その快進撃の始まりとなった記念すべき1枚でもありました。実際、Crazy.S氏の録音を大量に知っている現在の耳で聴いても、本作のサウンドは驚異的。Crazy.S氏は、この日のトリを飾ったIRON MAIDENも録音しており、その音源とサウンドボード音源を使用した「MONSTERS OF ROCK 1988: 25th Anniversary Edition」では「サウンドボード音源と混ざっても違和感がない!」と賞賛を集めました。ところが、本作はそのIRON MAIDEN編をも上回っているのです!
そんな名人Crazy.Sコレクションの中でも凄まじい高音質の1本に、最新のデジタル・リマスターを施し、さらに磨きをかけたのが本作なのです。元音源は、常に高音質なのは変わらないまでも、サウンドのニュアンスが目まぐるしく変化していました。しかし、本作では低域から中域にかけての過剰なポイントを調整し、各楽器の分離感を向上しているのです。例えば「It's So Easy」を聴いていただければ、突出していた高音がナチュラルになり、非常に聴きやすくなっているのに気づいていただけるでしょう。
そして、本作が“特別中の特別”たるゆえんは、やはりライヴの中身です。「Paradise City」のPVでも脈打つ海原のようなドニントンの大観衆が観られますが、まさにあれこそが本作の現場。オープニングから異様な雰囲気が漂うなか、1曲目の「It's So Easy」が始まる。そう、この1曲こそ、まさに2名が圧死した瞬間なのです。異様な盛り上がりとは、まさか演奏中に死者が出たことなど気づくはずもなく、2曲目に突入。しかし、ここでバンドも「こりゃ、ヤバいよ……」と感じたのか、次の曲に移れなくなってしまう。アクセル・ローズもスラッシュも観客に落ち着くよう呼びかけ、「おい、下がれ、下がれ!」「落ち着けって!」「殺しあうんじゃない!」「出ていけよ!」などなど、鬼気迫るMCの数々がウルトラ・クリアに聞こえるのです(本当にCrazy.S氏が無事でよかった……)。
そんなMCを所々に挟みながらも、演奏は実に素晴らしい。危険を感じながらも、世界を席巻しているGUNS N' ROSESの凄味が抑えようとしても溢れてくるのです。もし突然ステージを降りようものならそれこそ暴動になるのでしょうが、だからと言ってこんなライヴを聴かせながら「落ち着け」と言われても無理かもしれない……。そんな観客を静めるため、この日は急遽セットリストを組み替えたと言われており、本来ならアップに畳み掛けるであろう終盤でもスローな「Patience」「Sweet Child O' Mine」を持ってきています。まるで鎮魂歌のように聴こえる「Sweet Child O' Mine」のラストには、皮肉とも自棄ともつかない「Great fuckin’ day!!」の言葉を残し、本作は幕を閉じます。
死者を出してしまった“MONSTERS OF ROCK”は、翌1989年には史上初の中止となり、GUNS N' ROSESが再び聖地ドニントンに立つのは、18年後の2006年でした。この後も数々の逸話を生んでいくGUNS N' ROSESですが、その中でも本作に封入された46分間は超ド級の大事件。誰もが望まなかった悲劇、その一部始終をこれ以上ないほどクリアでリアルなスーパー・サウンドで真空パックした1枚です。ライヴ・アルバム? いいえ、これは貴方の棚を歴史の記録庫に変えるドキュメント・アルバムです。
MONSTERS OF ROCK 1988(Bonus DVDR)
GUNS N' ROSESの歴史上、いえロック史上に刻まれてしまった悲劇の“Monsters Of Rock 1988”。その現場をオーディエンス・ショットで収めたDVDRです。本編プレスCDの解説でも書いた通り、この日の様子は「Paradise City」のPVでもモノクロ映像でわずかに観ることができますが、本作は悲劇の起きた客席側のカラー記録なのです。
本編のオーディエンス映像の前に、本作はアクセル・インタビューをフィーチュアしたテレビ番組からスタート。イントロでは“Monsters Of Rock 1988”に出演したバンドのロゴとともに、当日の様子が流れます。IRON MAIDEN、KISS、DAVID LEE ROTH、MEGADETH、GUNS N' ROSES、HELLOWEEN……こんなに豪華じゃ客もおかしくなるわけだよ……。その大観衆がDJの煽りに乗って一斉に「We Will Rock You」を叫ぶ光景は、大スペクタクル。その後の悲劇を知っているだけに、空恐ろしくなるほどです。
「Sweet Child O' Mine」のPVとインタビューの後は、いよいよ現場のオーディエンス映像です。かなり前方で撮影したらしく、メンバーの様子もくっきり。とても80年代の秘蔵物とは思えない美しい画質で、まるで昨日撮影したような鮮度です。残念ながら収録は「Paradise City」「Welcome To The Jungle」「Sweet Child O' Mine」の3曲で(たとえ不謹慎の誹りを被ろうとも、悲劇の起きた「It's So Easy」を観たかった)、ところどころワープも散見するのですが、これほどのクオリティで最前列付近の空気を臨場感たっぷりに感じさせてくれるだけでも凄い。時たま揺れるアングルですら、まるでその場に居合わせているかのようなリアリティなのです。
本編プレスCDは、凄まじいクリアサウンドで悲劇のライヴの一部始終を収めた歴史的ドキュメント・アルバムです。しかし、音だけ聴いて現場を思い浮かべようとしても難しい。想像できたところで、脳裏の光景は歴史の事実とは違っていることでしょう。しかし本作には、あの日の観客のひとりが現実に目にした光景そのものが詰まっている。この映像を心に刻んでから、プレスCDを聴く。それこそが事実にもっとも近づける、たったひとつの方法なのです。さぁ、プレスCDと本作で、歴史のページを1988年のドニントンに戻してみましょう。そこには悲劇も描かれてもいますが、その一方、そうならざるを得なかったほど、最高のロックもあったのですから。
ORANGE COUNTY FAIRGROUNDS 1988(Special Bonus DVDR)
1988年夏、エアロスミスの前座としてのUSツアーより、8月7日、ニューヨークはオレンジ・カウンティ・フェアグランドでの野外ライブを客席からのビデオ撮りで約47分収録したファン必見映像が登場。観客の頭の隙間からステージを捉えた典型的なオーディエンスショット映像ですが、とにかく音質が大変良好で、加えてメンバーのズーム・アップ映像の品質はこの時代のものとしてはトップクラスのもの。おそらくマスター・ダイレクトと思われる非常に美しい映像は非常に素晴らしく、ガンズの80年代ビデオ・タイトルの中でも屈指のひとつであることは間違いありません。熱狂するオーディエンスからの必死の撮影ぶりが、この時代のガンズの生々しいパフォーマンスと見事にマッチしており、ファン必見の内容になっています。メンバー全員が今とは比較になら無い程に若く、美しく、本当に神々しいまでの5人の姿に、ロック・ファンならば誰もが固唾を呑んで見入ってしまうことでしょう。中盤でスラッシュの音頭で8分間のブルース・ジャムを披露し、そのままスラッシュがYou're Crazyを演奏しようとしますが、アクセルが「Hey Slash! 時間がないんだ」と演奏を止めさせ「時間がないから、皆が聴きたがっているビデオでお馴染みの曲をやるよ。」というMCに続いてSweet Child O' Mineを演奏するという珍しいシーンを見ることができます。アンコールはWelcome To The Jungleで場内狂乱の中、カメラはしっかりとアクセルを捉えており、カリスマチックなパフォーマンスを素晴らしい映像で堪能することができます。