Taken from the original US Mobile Fidelity Sound Lab 24 KT Gold CD(UDCD 712)
Ultradisc II 24 KT Gold CD from Mobile Fidelity Sound Lab "Original Master Recording" Collection
[メーカーインフォ]
大きな話題を呼んだ“モービル・フィディリティ”のゴールドCD復刻シリーズ。その最新弾がギフト・リリース決定です。
アナログ・マスター専門メーカーの“モービル・フィデリティ・サウンド・ラボ(MFSL)”と言えば、世界のオーディオ・マニア達が絶大な支持を寄せる信頼のブランド。音の匠が情熱の限りを込め、大名盤の数々をマスター・テープからデジタル化していきました。そんなシリーズの中で、本作に収められているのは1997年にリリースされた24KゴールドCD『UDCD 712』。そう、革命児GUNS N' ROSESが満を持して送り出した2枚同時リリースの第二弾『USE YOUR ILLUSION II』です。
【マスターテープ・サウンドを最重視したモービル・フィディリティ】
アナログ作品のCD化が最盛期を迎えた90年代には高音質CDが数多く登場しましたが、その中でもMFSLは別格でした。他の高音質CDは新技術によって圧縮の違和感を減らしたり、素材で読み取りエラーを減らしたりといった「デジタル劣化を抑える」発想のもの。それに対してMFSLのポリシーは「マスターテープに刻まれた音を忠実に再現し、余分なものを足したりしないこと」。磁気テープから音を引き出す段階にも目を向けた独自の“ハーフスピードマスタリング”技術を開発するなど、“アナログ録音された音そのもの”を最重視にしているのです。
そんなMFSLは1987年からレコード会社からオリジナルのマスターテープを借り受け、数々の名盤を1本1本緻密にデジタル化。マスターテープの音をCDに移し替えていく“Ultradisc”シリーズをリリースして行きました。現在はSACDやLPの分野にも進出していますが、本作は90年代の前半期にCD化していたというのもポイント。磁気テープのマスターは経年劣化に弱く、時間が経てば立つほど録音当時の音が失われていく。テープが歪んだり張り付いたりといったケースもありますが、たとえ精密に保管されていたとしても磁気の消失までは防げない。現在では、マスターテープそのものより物理的な溝で記録するLPの方が音が良かった……などという事態も起こりつつあるのです。その点においても“Ultradisc”シリーズは偉業だった。CDの普及期にあった80年代から始められており、高音質を謳う新技術CDの登場よりも早くにマスターテープの音をデジタルに残したのです。
MFは、そうして引き出したマスター・サウンドを24金のゴールドCDに封じ込めた。純度99%以上という金メッキ・コーティングは通常CDの金属薄膜より反射率が高く、エラーを減らすことができる。その狙いも重要でしたが、現在それ以上に重要だと思われているのが保存性。CDのポリカーボネートは保水性があり、内部の金属薄膜(アルミ)を腐食させる(つまり、錆る)。古いCDを光にかざすとポツポツとした小さな点が見えることがありますが、それが腐食して空いた穴であり、これが読み取りエラーの原因の1つになるとも言われています。それに対して金はもっとも安定した金属で自然界では錆びない。もちろん、あくまでコーティングなので限界はあるものの、通常CDとは比較にならないほど保存力があるのです。
【多彩な楽器が重なり合っても微細な機微を感じ取れる『USE YOUR ILLUSION II』】
そうして“録音から6年”時点のマスター・サウンドを伝えてくれるのが、本作の『USE YOUR ILLUSION II』。今週は『USE YOUR ILLUSION I』のMFSL盤もご紹介しておりますが、この2作は明らかに本来2枚組。オリジナル・リリースも同時ならMFSLも連番で1997年10月に同時リリース。デジタル化作業も同時だったと思われ、サウンドの特性も仕上がりも姉妹作で酷似しています。
後のリマスターCDに比べると音圧は低めで一聴すると地味にも感じますが、ヘッドフォンで聴き込むほどに豊かな鳴りの細やかさに引き込まれ、表現力は上な事に気づいていく。リマスターCDの様にハイライトを引き上げたようなゴツゴツ感がないのに、本作の方が凹凸は細やかで多彩。いかに1音1音の立ち上がるアタックが鋭くても、そこにはピックが弦を弾く刹那のヴァイヴが感じられ、消えゆく刹那もボリュームを絞り込んで「消す」のではなく、弦の振動が「収まって」いくのが分かる。
しかも、そうした1音1音が重なり合っても混じらない。実のところ、『APPETITE FOR DESTRUCTION』よりも音作りがゴージャスで効果音のオーバーダブも多い作品ですので、当初はそれほどリアル感は感じられないだろうと思っていました。ある意味で予想通りでもあったのですが、予想外だったのはぶ厚い効果音が被さっても、その中から突き抜けてくるバンド・サウンドが超リアル。逆に、ヘッドフォンで探れば探るほど感じ取れる機微に、マスター・サウンドの旨みを実感できるのです。もちろん、ロックですからそんな事を一切気にせず楽しめます。しかし、いざ顕微鏡的に向き合うとどこまでも深掘りできる……そんな無限の懐を誇る『USE YOUR ILLUSION II』なのです。
“モービル・フィディリティ”によるゴールドCDだからこそ現代まで保持し得た大名盤のマスター・サウンド。今になって現物を手に入れようと思っても、元々が少数限定生産なために困難。その美麗サウンドを1人でも多くの方に触れていただくためのギフト・リリース。どうぞ、じっくりお楽しみください。
Disc 1
1. Civil War
2. 14 Years
3. Yesterdays
4. Knockin' On Heaven's Door
5. Get In The Ring
6. Shotgun Blues
7. Breakdown
8. Pretty Tied Up
9. Locomotive
10. So Fine
11. Estranged
12. You Could Be Mine
13. Don't Cry (Alt. Lyrics)
14. My World