■ Guns N' Roses が誕生するまでの過程を、当時ハリウッド・ローズのメンバーでもあったクリス・ウェバーの回想と共に辿る。（記事の元は、マーク・パタフォードの"OVER THE TOP"による）

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クリス「オレがイジーとアクセルに初めて会った日が、ガンズの第1日目だったよ。なぜならこのバンドは、スラッシュが入って有名になった後でも、実質的にはイジーとアクセルのバンドだったからね。 事実、バンドに関する全てのアイディアはイジーから出ていたよ。アクセルは自分が何をやりたいのかもわかっていなかったけど、イジーは「こういう格好をして、こういうサウンドにして…」 というようなことを言っていた。イジーがすべてのアイディアを考えたし、ハノイ・ロックスやUK・サブスやラモーンズといったバンドを聞き始めたのもイジーだったんだ」

「ある日イジーがハノイ・ロックスの写真をオレに見せて、「こういうイメージにしたいんだ」と言ったんだ「ヘー」って感じだったよ。だって、こんな風に膨らませて逆立てた髪と、グラム・ファッション だったからね。イジーにグラム・シーンのことを教えたのは、彼のアパートの下の階に住んでいたゲイリーというロシア人だったと思うけど、とにかく、イジーはハノイ・ロックスに夢中だったよ」
クリスもアクセルもそのアイディアが気に入り、髪を逆立て、近所の店の化粧品売り場をひやかしながら、そのグラム・スラムな意図を支持してくれそうなリズム・セクションを探し始めた。 ほどなく、ジョニー・クライストという名のメキシコ人ドラマーを新聞の広告で選び、その後、地元のベーシスト、リック・マーズと知り合い、ついにウエスト・ハリウッドのチェロキー大通りにあるマーズ・スタジオに初めて全員が集合した。

「最初に書いた曲は、ラモーンズ・タイプの曲ばかりだった。未熟で荒削りでパンキーだったよ。それからギグを始めたんだ。毎晩トルバドールやレインボーといったお店の前に行って、"They're Living Fast & They'll Die Young"（”奴らは速く生き、若くして死ぬ”50年代のTeenage Runaways という映画に使われたスローガン）と書いた チラシをみんなに渡していたんだ。この文句はイジーが考えたものだ」

「バンドは最初 A.X.L. と名乗っていた。アクセルの名前とは関係無いんだ。実際、あの頃アクセルはまだビルと呼ばれていた。アクセルというのを名前に入れたのは、オレ達がバンド名を変えた後さ。A.X.L. の後はRose と名前を変えて、それからHollywood Rose と名乗った。ニューヨークにローズというバンドがいるのを雑誌で知ったから、区別を付けたかったのさ」

「アクセルは当時版のマイケル・モンローみたいで、知らなければ女と間違えられそうな感じだった。あの頃、グラムはLAでは本当に流行らなかった。スパンデックスばかりでね。オレ達が絶対に着たくなかったのが、スパンデックスの衣装だった。ハノイ・ロックスに影響されて方向を決めて、グラムをやり始めたのは、あの頃オレ達が最初だったと思う。その後、誰もがやるようになったけど、すべてはイジーがあのアイディアを最初に思い付いた時に由来すると思うよ」

「オレ達はハリウッド大通りにある中国人がやっているタトゥー・ショップに行ったんだ。アクセルはどうしても刺青を入れたがっていた。アクセルはこの時本当に刺青に夢中になって、いつも、他人の腕でもどこでも、どういうデザインの刺青をしているのかを見て楽しんでいた。そしてある日、シン・リジィのアルバム”ブラック・ローズ”のカヴァーの絵を肩に入れることにしたのさ。そしてレコード・スリーヴからオリジナルの絵を写して持っていった。あの”ブラック・ローズ”はあの頃のバンドにとって、とても大きい影響力のあるアルバムだったんだ。
オレとアクセルの一番好きなアルバムだったよ。オレ達はあのアルバムをじっくりと聴いては、「オレ達もこういう曲を書かなくちゃいけない！」と言っていた。そういうことは、よくあったんだ。いろいろなアルバムを聴いて、アイディアを拾っていった。実は "Anything Goes" はエアロスミスの "Rock In A Hard Place" を聴いていたオレがあのレコードのギター・パートの一部にインスパイアされ、作ったものなんだ」

二人の性格についてもクリスは語っている。「イジーはいつもジェームス・ディーンのようなクールな雰囲気が漂っていて、物静かで、でしゃばらないし、自信を持っていたし…それにいつも心の平静に満ちてるように見えた。何が起こってもすぐに立ち直っていたし、なんでも自分で解決していた。アクセルはいつも、かなり興奮していて、彼との間に友情を感じるってのは難しかったよ」

後に Hollywood Rose は解散状態になり、それぞれが違うバンドで活動したりしていたが、1984年の大晦日、リユニオン・ギグを行うことになる。
「その時のラインナップは、イジー、アクセル、ロブ・ガードナーという地元のドラマー、スティーヴ・ダーロウというベース・プレイヤー、そしてオレだった。オレ達はただ集まってすごく楽しい時を過ごした。そのギグの後、1ヶ月ほどリハーサルをしたけど、この時やはり何の成果も無く、バラバラになってしまった」
しかし、アクセルとイジー、ロブ・ガードナーは一緒に活動を続けて、1985年の前半は場所さえあればどこでもリハーサルをしていた。この時スラッシュは、イジーが地元紙に出した広告に答えて、オーディションを受けているが、落ちてしまっている。アクセル曰く「ヤツはあの時、ブルージー過ぎたし、上手過ぎたんだ。自分のやってることに入れ込んでるみたいで、オレ達には、かめないなって思った」

再びクリス、「オレはジーンゼズというバンドでプレイしていたけど、時々彼らがリハーサルしている様子を見に行っていたんだ。その時彼らはガンズ・アンド・ローゼズと名乗っていた（LA・ガンズとハリウッド・ローズを合わせた名前。名前の候補は他にヘッズ・オブ・アマゾンやエイズというものもあったようだ）」
「とにかく、ある日オレが遊びに行ったらベース・プレイヤーがいなかったから、オレがベースを弾いても構わないかなって思ったこともあった。でもそれは実現しなくて、しばらくはイジーがベースを弾いていたと思う。ダフが現れるまではね…」

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シアトルの盛んなアンダーグラウンド・シーンで様々なミュージシャンたちと知り合い、ジャム・セッションにも恵まれたダフだったが、成功するために拠点を移すことにした。彼が選んだ場所はロサンゼルスだった。
1985年春、ダフは新聞の広告をキッカケにスラッシュとスティーヴンのバンド、ロード・クルーと合流。3人で集まって曲を書こうとしてみたが、すぐに、自分たちにはちゃんとしたフロントマンが必要だということ、もっとリハーサルをする必要があるということもわかった。このバンドはダフがはるばるロサンゼルスまで来た目的ではなかった。やや力不足のロード・クルーで数ヶ月過ごした後、彼はもっと活動的なバンドを探すようになった。
思いがけなく、ダフはガンズ・アンド・ローゼズ（メンバーはアクセル、イジー、トレイシー・ガンズ、ロブ・ガードナーの時代）と知り合いになったが、彼らもダフを驚かせるバンドではなかった。数年後、当時の第一印象を「随分疑問点の多いバンドだった」と認めている。しかし、ダフはおもしろ半分でこのバンドに入ることにして、今度は上手くいくという期待を持ってみることにした。

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