My World199X アクセルに何が

■ 1991年発売のアルバム『Use Your Illusion』に他のメンバー抜きで作った"My World"を入れたアクセル。スラッシュ曰く「それって、本当に必要か?」という新たな要素をGN'Rに導入し、バンドを進化させようとするアクセルと、あくまでも伝統的なロックを貫こうとするスラッシュの軋轢。結局、お互いに譲ることがないままスラッシュはバンドを去ってしまう。

90年代GN'R沈黙の期間に、アクセルが試みようとしていたことは? 当時アクセルが影響を受けた音楽とは? 当事者・関係者による発言の断片から追う。
ある遅い晩、アクセルに Nine Inch Nails について教えてもらったのを憶えている。彼は「これはオレが今までに聞いた中で最もクールなものだ」って言って、オレ達はみんなそこに座っていて「なんだそれ、おまえ何言ってるんだよ?」って感じでさ。
そのうちアクセルはヨーロッパで Nine Inch Nails をガンズの前座に据えたんだけど(1991年)、Nine Inch Nails は確かブーイングの嵐で引っ込まされたって話だったな。けれども、オレ達がまだ Judas Priest とかを聴いていた時点で、アクセルはもうそこまで行ってたんだよね。
≫ Lars Ulrich (Metallicaのドラマー)
オレ達は自分達のよく知っているこのロックン・ロールっていう音楽の範囲の中にかなり長い間とどまってきたわけだけど、オレとしてはGN'Rにもっとこれから何か、今までになかったような新しい要素を加えることはできないものかどうかを見てみたいと思ってるんだ。
≫ 1992 - Axl Rose
(実際アクセルはどういった方向に進みたがっているんですか?)
それを現段階で言うのはとても難しいよ。今彼が考えていることがそのまま次の彼らのアルバムでの方向性に反映されるかどうかはわからないからね。 何事も変わり得る、というか、何がいつ、どう変わるのかわからないのがGN'Rだからさ(笑)。ただ、少なくとも彼が、これまでGN'Rが創造してきたものと、全く別種のものを目指そうとしているのは確かだよ。
≫ 1994 - Gilby Clarke
アクセルは全部インダストリアルって感じで出来るんなら、ソロを作りたいみたいだけど。 彼はそういう違ったバンドから、名前を挙げるのは控えるけど、完全にインダストリアルなバンドから人を集めて作りたがっている。
(Ministryのようなバンドですか?)
まあそんな感じのバンドさ。だから、それはアクセルにとって捌け口になるわけで、それは凄く良いことだよ。 だって、おかげでオレにかかるプレッシャーも取り払われるわけだからな(笑)
≫ 1994 - Slash
Trent Reznor - Nine Inch Nails
Nine Inch Nails
多少素朴とはいえインダストリアル・ポップの傑作となった89年の『Pretty Hate Machine』で衝撃のデビューを果たして以来、猛烈な不満と怒りを表現した92年のEP「Broken」、悩みに満ちた94年の『The Downward Spiral』から99年の荒涼たる『The Fragile』に至るまで、ナイン・インチ・ネイルズのフロントマン、トレント・レズナーは自らがポップ・ミュージック界において重要な存在であることを実証してきた。
レズナーはマッキントッシュを使い疎外感や自己嫌悪、そして苦い裏切りを表現することにかけては完成された技をもっている。静けさの中に緊張状態を作り出し、それをインダストリアル・ノイズとして爆発的に解放する――レズナーの生み出す楽曲は、90年代の名曲として音楽史に燦然と輝いてきた。
と同時に、彼は自らのレーベル<ナッシング>を設立しマリリン・マンソンをデビューさせたり、オリバー・ストーン監督の『ナチュラル・ボーン・キラーズ』やデヴィッド・リンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』のサウンドトラックを手がけるなど、バンド以外のプロジェクトでも見事な手腕を発揮している。

[ yahoo music アーティスト情報より ]
ツアーの直前にアクセルから電話があったんだ。ちょうどガンズが上手くいってない時期で、何かサイド・プロジェクトをやりたいと話していた。だからその時は知らせてくれって言ったんだ。
≫ 1995 - Trent Reznor (Nine Inch Nails)
ミュージックシーンの変動には、何であれ、オレは迎合したことがない。オレはオレで好きにプレイする。誰かが成功すれば嬉しいけどね。Pearl Jam なんか成功しているよな。オレは好きじゃないけど、好きだって人達がいて、あいつら自身が独自のことをやってるってのは喜ぶべきことだ。オレには何の関係もないけどさ。オレは Pearl Jam なんか好きじゃないし、あいつらのアルバムだって聴いてない。Soundgarden は好きだ。でも Soundgarden になりたいとは思わない。それぞれ違うバンドなんだから。

GN'Rの場合はアクセルが業界の雲行きとか流行りを気にすることもあるけど、心配するのはあいつの勝手だし、オレはそんなの気にするかってんだ!(笑)

アクセルはGN'Rでバラードなんかをどんどんやりたがってるけど、オレとしてはロックぽいのをやりたいんだ。今の流行の音楽とか何が商業的に価値があるかなんて、オレの知ったことじゃない。だからこそオレの(Snakepitの)アルバムは、こんな音になったわけだしな。
≫ 1994 - Slash
アクセルは言っていたんだ「オレはバンドのサウンドを変えたい。オレはもっとインダストリアル・タイプのものを利用したい。」
≫ Gilby Clarke
オレ達の活動が滞っていたからオレは曲を書き始めた。GN'R用の素材と考えていた。(中略)で、アクセルが聴きに来て、オレは持ちかえり用にテープを作って渡したんだが、あいつは「凄くクールなのもあるけど、オレの作りたいレコードとは違う」って言ったから、オレは「それならそれで構わないよ」と。どんなものをやるにしろ、やるときは一緒にやるんだと思っていたからね。
アイディアでしかなかったし、あいつからもしばらく連絡がなかったんだが、そのうちあいつが「もう、ああいうバンドではいたくない」みたいな態度に出てきたんで、一時期、オレ達の関係は泥沼化した。当時あいつは Nine Inch Nails とか Pearl Jam をよく聴いていて、ああいうのをやりたがっていたんだ。
≫ 1999 - Slash
アクセルはインダストリアルもの… Nine Inch Nails とかに本格的に入れ込んで影響され、そもそもこのバンドの音楽的な持ち味から離れていってしまったわけだ。もっと新しい、オレ達は別に好きでも何でもないもので実験したがった。ループだの電子音楽だのってね。オレとダフはそれでも長いことがんばったんだけれど、スラッシュ無しでは、どうしたってバンドの音にはならない。オレ達はスラッシュがいないと物足りないし、でもスラッシュはスタジオに来たがらないし…。
≫ 2001 - Matt Sorum
何年か前にアクセルにCDを買って来るように頼まれたことがあったんだ。クレジットカードをもらって、Front 242、Nine Inch Nails、KMFDM、初期の Prodigy とか、ああいう初期のテクノものを買って来るようにってね。本当に入れ込んでいた。
≫ Joseph Brooks (クラブDJ、LAのレコード店ヴァイナル・フェティッシュの元オーナー)
(彼(アクセル)が「Appetite~」をリ・レコーディングしたことについてはどう思いますか? 既に完成している名作を録音し直そうなんて…)
まったくだよ。それに、あの Nine Inch Nails なサウンドもまた然り。あいつは何であんなことをして、ああいうテクノ・インダストリアルな方向へ進もうとしてるんだろう。
≫ 1999 - Duff McKagan
■ 90年代、GN'Rのセッションやリハーサル等に参加した人々
Dave Navarro (ex Jane's Addiction, Red Hot Chili Peppers)
Josh Freese (ex Vandals, A Perfect Circle)
Gary Sunshine (ex Circus Of Power)
Zakk Wylde (Black Ladel Society, Ozzy Osbourne Band)
Brian May (Queen)
Dave Abbruzzese (ex Pearl Jam)
Chris Vrenna (ex Nine Inch Nails)
など
Moby
Moby
ハード・ハウスからプログレッシヴ・トランス、アンビエント・テクノ~レイヴ・テクノ……というように、さまざまなダンス・ミュージックをミックス。その、「むき出しで粗削りなサウンド」に「洗練度の高いテキスチャー」を合体させたナンバーからは、水と決してまじわることのないオイル一滴一滴が、水中に静かに落ちていくような映像を喚起させられる。
[ yahoo music アーティスト情報より ]
モービーは様々な顔を持つ多才なミュージシャン。ハウスが大好きでグラミーにノミネートされ、受賞経験もある。映画のサウンド・トラックを手がけ、DJとしてもスーパースターであり、リミックスもこなす、テクノ界の巨人。 リミックスやプロデュースの仕事はデヴィッド・ボーイからメタリカ、ビースティ・ボーイズ、エアロスミス、ニュー・オーダーと枚挙に暇が無く、デヴィッド・ボーイとはツアーも同行している。またエルトン・ジョンやU2のボノ、REMのマイケル・スタイプ、ルー・リード他多数とのデュエットも経験している。
[ TOSHIBA-EMI MOBY特集 より ]
マジメな話、オレが最近聞いたものの中では、誰より上手くループを使ってるよ。

今のガンズ・アンド・ローゼズは、よりコンテポラリーなプロダクション・サウンドを導入したレコードを作りたがっているんだよ。

ある時点では、アクセルは DJ Shadow のレコードをどれだけ気に入っているかって僕に切に訴えてきたからね。
≫ Moby (1997年頃一時的にGN'Rと関係)
DJ Shadow
DJ Shadow
イギリスの音楽誌『NME』いわく、ギターをサンプラーに持ち替えたジミ・ヘンドリックス。カリフォルニアをベースに活動するDJシャドウは、埃にまみれたおびただしい量のレコードから見つけ出したブレイク・ビートを巧みに繋ぎ合わせて、ヒップホップに新たな地平を切り開いてきた才人である。
それは、96年のアルバム『Endtroducing...』によって、はっきりと明示された。この作品が持つ、繊細な抽象画を想起させる緩やかな音の響きは、主流のヒップホップ・サウンドとはかなりかけ離れているが、そういった批評を問答無用にはねのけてしまうほど崇高で深く、ハイ・クオリティだった。タンジェリン・ドリームやビョーク、U2といった突拍子もない大ネタのカット・アップにより創造された作品群は、ヒップホップのみならず、あらゆるサンプリング・ミュージックの可能性を推し進めたと言えるだろう。
彼の才能、つまり、DJシャドウが創出するサウンドは、“アブストラクト”とか“実験的”といった陳腐な言葉で片づけることができないものだ。言うならばそれらは、彼のヒップホップに対する自由な精神と哲学から生み出された“DJシャドウ・サウンド”である。

[ yahoo music アーティスト情報より ]
オレがもしGunsが"Appetite~"でやったことを考察するなら、あれは当時起こっていたことを混ぜ合わせ、さらに過去からの影響を使ったようなものなんだ。もしオレ自身の影響…つまりオレがずっと聴いてきたもの、誰もが聞いているもの…を利用すれば、オレは正しいレコードを作ることが出来るだろう。だからその意味においては、オレは昔のGN'Rのようなものだと思っている。ありとあらゆる異なるスタイルを合わせる精神と試みがある限りね。

新しいGunsのレコードには、ブルース・ベースの要素があるよ。非常に多様なレコードなんだ。多くのヒップホップのビートもあれば、ストレートなロックもある。もし誰かが "ヒップホップのビート"ってどういう意味だ? と言ったとして… そうだな Radiohead はヒップホップのビートと同種のビートを使っている。実際、"オフィシャル"ヒップホップ・ビートがあるし、それから"Radioheadスタイル"のヒップホップ・ビート、ロックのビートもある。

それは、様々なサウンドなんだよ。本当にヘヴィーな曲があり、多くのアグレッシヴな曲もある。でもそれらは全てスタイルもサウンドも違うのさ。本当に"るつぼ"なんだよ。
オレはまたQueenを聴くようになったんだ。(中略)Queenはレコードでありとあらゆるスタイルの曲をやっていたし、オレはそういうのが好きなんだ。オレは様々なものを聴くし、本当に分類されるのが好きじゃないんだ。GN'RがQueenと少しだけ共通していると思えるのはその部分だね。

"Appetite~"では、たとえ似た様なサウンドだと感じられたとしても、もしもキミが本当に聴き返したのならば、すべての小さなパートから異なる影響を引き出すことが出来ると思う。
≫ 1999 - Axl Rose
1997年、アクセルはロスで行われた Radiohead のコンサートのバックステージで目撃されている。
Thomas E Yorke - Radiohead
Radiohead
3本のギターが繰りだすオーケストラのような重層的な音の広がり。そして、「静」と「動」を使い分けるトム・ヨークのヴォーカルは、深い森にたちこめる霧のようであったり、突如として圧倒的な力を放つ春雷のようであったり――と二面性をもって鳴り響く。
デビュー以来、ギター・ロックにのせて自己嫌悪の塊のごとき内省的な歌詞を展開してきた彼らは、3rdアルバム『OK Computer』から、エレクトロニック・サウンドを大々的に取り入れ、ひとつの地点に留まることを知らない先進性を発揮。統制されたバンド・アンサンブルとエレクトロ・ミュージックの融合は、無機質な冷たさと人間が本来もっている熱情を同時に内包し、アーティスティックな音世界を呈示している。 そして、00年、4枚目となるアルバム『KID A』を発表。バンドというフォーマットにとらわれず、ブレイク・ビーツ/エレクトロに大接近したその内容は、全ロック・シーンにとってまさに世紀末の大問題作となった。

[ yahoo music アーティスト情報より ]
みんなの予想とは裏腹に、もっと「Appetite~」に近いレコードになると思うよ。
≫ Chris Vrenna (元Nine Inch Nailsのドラム・プログラマー)
要するにガンズ・ミュージックだよ。テクノのレコードになるって話もあったけど、結局のところこれまでのガンズのレコードと何ら変わりはない。ヴァラエティに富んでいるんだ。
≫ Doug Goldstein (GN'R 2代目マネージャー)
かなり過酷な音楽の旅だったね、ほんと。バンドにいるみんなが、というか、かつていたメンバーもかな……何人かはバンドに入り、そして去っていったからね……みんな貢献しているよ。だから、音楽的に本当に興味深いと思う。
≫ 2002 - Dizzy Reed
幅広くいろんなものを取り入れてる感じだ。さまざまな要素があるよ。昔のGN'Rがいくらか入っていて、一方で、もっと今のサウンドにも触れている。ロック、バラード、それにミッドテンポの曲も…つまり、たくさん入ってるってわけ。
≫ 2002 - Tommy Stinson
クラシックなサウンドであると同時に、時代性を超越した音楽でもあると思う。アルバムを聴いたリスナーは、大好きになるか、それとも大嫌いになるかのどちらかだろうな。それほどインパクトのある内容なんだ。
≫ 2008 - Richard Fortus

■ アクセルがほとんどインタビュー等を受けていない為に、沈黙期間における影響などを具体的に語っている部分がほとんど無い状態です。今後、何かおもしろい話が出てきたら追加するかもしれません。