2016年、AC/DCは、聴力の問題を抱えていたヴォーカリストのブライアン・ジョンソン(Brian Johnson)がツアーを途中で降板し、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズ(Axl Rose)が代役を務めました。AC/DCはアクセルを選ぶ前、オーストラリアのロックバンド、ジェット(Jet)のヴォーカリストであるニック・セスター(Nic Cester)を代役に起用することを考えていたそうで、ニックはオーディションを受けていたことを、オーストラリアのラジオ番組で明かしています。
「妻の実家に泊まっていたとき、朝起きて新聞を読んだら、ブライアン・ジョンソンがもうバンドにいないと書いてあったんだ。僕は義父に“なんてこった、誰もそれの後任はしなくないだろうな”と言ったのを覚えているよ。その20分後に電話が鳴って、“ジョージア州アトランタに行ってオーディションを受けて、次の日程の穴埋めをしてくれないか?”って言われたんだ。
僕は“人生経験のためにイエスと言おう”って感じだった。正直なところ、決まるとは思っていなかったんだけど、“このチャンスを断るわけにはいかないだろう”と思ったんだ」
そしてニックはオーディションを受けました。
「彼らはブラック・クロウズのリハーサル・スタジオにいて、小さな場所だったんだけど、そこには巨大なバックライン(※ギターのアンプなど機材)もセットアップされていた。“あのアンプが全部オンになっているわけがない”と思ったけど、アンプは全部オンだったよ! 人生で聴いたことのないような大音量だった。
アンガス(ヤング)は僕のペースに合わせてくれた。すべては僕がどう対処するかを試すためのものだった。音量もね。彼は“よし、この曲をやろう”と言ったんだけど、僕は(曲のいくつかを)出だしから知らなかった。彼はただ“あっちに行って覚えてこい”と言い、バンド全員が10分もそこで待っていたので、僕は“ああ、クソッ”と思ったよ。
かなり強烈だったけど、アンガスは超プロフェッショナルな男で、僕を絶対的な限界まで追い込んで、僕がどう反応するかを確かめたかったんだと、今ならわかるよ」
ニックはボン・スコットの曲ではいい仕事をしたと思うが、ブライアン・ジョンソンの曲では少し苦労したとも語っています。
「とても変わった歌い方で、ある人に言われたんだ。“君は(ブライアンは)ものすごいボリュームで歌っていると勘違いしている”とね。彼はそうではなく、マイクに向かって直接ささやいている。背後に巨大なボリュームがあるために、世界で一番大きな音のように聴こえるけど、全然そうじゃなくて、彼はほとんど声を押し出していないんだ」
ニックは、オーディションを受けていたのは自分だけではなかったことを認識しており、アクセルの出演が決まった時も驚かなかったという。
「すべてがとても(秘密)だった」と言い、誰もオーディションのことを公に話すことを許されなかったことを指摘。「アクセルも同時にそこにいた。誰かが偶然、彼の名前を誤ってシートに残したんだ」と付け加えています。
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