AC/DCのブライアン・ジョンソン、16年のツアーを見る気になれなかったと回顧録で語る

AC/DCのブライアン・ジョンソン(Brian Johnson)は、2016年のツアー中に聴覚の問題でAC/DCを離れることを余儀なくされた時、「絶望」を感じたという。もしもレーシングカーで事故死したとしても「それほど気にならなかった」という。そのツアーの残り公演ではガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズ(Axl Rose)が代役を務めましたが、ジョンソンは見る気にもなれなかったという。自身の回顧録『The Lives of Brian』の中で述べています。抜粋がUltimate Classic Rockで公開されています。

ジョンソンは以前から聴力障がいの治療を受けていましたが、ある医療専門家から「すぐに演奏をやめなければ、残っている聴力を失うことになるだろう」と告げられました。彼は当初、歌い続けるための契約があることを主張しようとしましたが、最終的には状況を受け入れました。

「ツアー・マネージャーのティムに、その場で携帯で電話して、もう続けられないと伝えた。俺の人生で最も困難な会話の一つだった。その痛みは、俺なしでツアーが続けられたその後の数週間に、さらにひどくなった。まさに断崖絶壁だった。 転げ落ちたのではなく、急激に落下したんだ」

「その苦しみの一部は、自分を責めることだった。俺はキャリアのほとんどを、世界で一番うるさいバンドで過ごしてきた。常に駆け抜けてきた。体調が悪いとわかっていても、突進していた。しばらくは“うつ病か”と聞かれることもあったが、うつ病は治療が可能だ。難聴はそうではなかった。俺が感じていたのは、うつ病ではなかった。それは絶望に近いものだった」

その後、アクセル・ローズはAC/DCのRock or Bustワールド・ツアーの残りの公演に参加しました。

「彼は素晴らしい仕事をしたと聞いているが、でも、俺は見ていられなかった。自分の家に他人がいて、自分のお気に入りの椅子に座っているようなものだった。でも恨みはない。厳しい状況だったんだ。(AC/DCの共同創設者である)アンガス・ヤングと若者は、自分たちがやらなければならないと思ったことをやったんだよ。バンドが俺が離れることを確認し、今後の成功を祈る声明を発表した後、俺はリラックスすることも、何かに集中することもできなかった。いつもそこにいるような感じだったんだ」

ジョンソンは、友人やファンからの応援メッセージが「自分を支えてくれた」と語り、また「俺がずっと好きだったもうひとつのこと、レーシングカー」に集中することができたと言っています。「気がつけば、いつもより多く勝っていた。レース後、みんなが寄ってきて“ブライアン、君は大胆不敵だ!”と言っていた。でも、俺は恐れ知らずじゃなかった。もうどうでもよくなっていた。時速180マイルでコーナーを回るのがベストだといつも思っていた。壁に激突して、ドカーンと、そのまま終わりだ。誤解しないでくれ、俺は死にたくはなかった。…ただ、それほど気にならなかったんだ」

その年の暮れ、ジョンソンは、彼の聴覚の問題を解決する新しいタイプのインイヤーモニターを開発した技術者に出会いました。「彼がどんな魔法を使ったにせよ、うまくいった。俺の耳でも聴こえた。ステレオを再び楽しむことができるようになったんだ。突然、長い間感じていなかったことを感じた。希望だよ」

その後、ジョンソンはAC/DCの最新アルバム『Power Up』のためにスタジオに戻り、最近では再びステージで演奏することができるようになりました。
[source] https://ultimateclassicrock.com/
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AC/DCのブライアン・ジョンソンは、2016年、聴力の問題によりツアーを離脱せねばならなくなったとき絶望に近い気持ちを抱いたといい、彼の代わりにガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズを迎えて行われたAC/DCのライヴ・パフォーマンスを見ることができなかったという。

『Ultimate Classic Rock』によると、ジョンソンは最近出版した自伝『The Lives Of Brian』の中で、当時の心境についてこう綴っているそうだ。「しばらくの間、人々から落ち込んでいるかって訊かれていたが、落ち込むっていうのは回復可能だ。僕の聴力はそうじゃなかった。僕が感じていたのは鬱じゃない。絶望に近かった」

「彼(ローズ)は素晴らしかったと聞いている。でも、僕はどうしても見ることができなかった。とくに35年間もやっていると、他人が自分の家にいて、自分のお気に入りの椅子に腰かけているのに気づくような感じだった。でも、何の恨みもない。厳しい状況だった。アンガス(・ヤング)達は、彼らがやらねばならぬと思ったことをやっただけだ。とは言え、バンドが、僕がツアーを離脱し、僕の今後を祈っているとの声明を出した後は、リラックスしたり何かに集中することはできなかった」

ジョンソンは北米ツアー中だった2016年3月初めにドクター・ストップがかかり、AC/DCは3~4月の公演を延期後、5月にアクセル・ローズを迎えヨーロッパでツアーを再開した。

ジョンソンはバンドに復帰した2020年、『Ultimate Classic Rock』のインタビューで、ローズについて「彼はタフなタフなヴォーカリスト・ギグに飛び込んだんだ。絶好調でなくてはならず、休む間はあまりない。本当に、常に全力でかかっていかないと。あれほど急な話だったっていうのに、彼はそれを成し遂げた。素晴らしい。彼がしてくれたこと、僕はもの凄くリスペクトしている。多大なリスペクトだ」と話していた。(Ako Suzuki)
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