ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)のスラッシュ(Slash)はAudacy Check Inの新しいインタビューの中で、なぜキャリアのこの時期にブルース・アルバムをレコーディングすることにしたのか、また、どうやって、ハウリン・ウルフ「Killing Floor」のカヴァーに、AC/DCのブライアン・ジョンソン(Brian Johnson)とエアロスミス(Aerosmith)のスティーヴン・タイラー(Steven Tyler)を迎えたのかについて話しています。このブルース・アルバム『Orgy of the Damned』は海外で5月17日、日本で5月22日発売。
「子供の頃、たくさんのブルースを聴いて育った。その後、ギタリストとして、ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、エリック・クラプトンといったイギリス出身のミュージシャンたちに影響を受けた。そしてすぐに、彼ら特有のスタイルはすべて、俺が以前に聴いて育った音楽に根ざしていることがわかったんだ。俺にとっては一周して結局始めに戻ったようなものだった。
オリジナル曲を聴くと、そのオリジナル・ミュージシャンたちのことがよくわかる。エリック・クラプトンやローリー・ギャラガーなどの偉大なギタリストたちや、イギリスの爆発的な発展から生まれたシンガーたち…彼らはとても素晴らしいんだけど、オリジナルの人たちの曲を聴くと、とんでもないんだよ。オリジナル・アーティストの曲のフィーリングや自然なリズム、歌いっぷりは、すごいんだ。(今の)最高のブルース奏者たちでさえ、オリジナルがどれほど素晴らしいものであったか、その上っ面をなでるのがやっとなんだ」
このアルバムからのファースト・シングルである、ハウリン・ウルフ「Killing Floor」のカヴァーには、リード・ヴォーカルにAC/DCのブライアン・ジョンソンを、ハーモニカにエアロスミスのスティーヴン・タイラーを迎えています。どうやって、この2人を迎えたのかについて、スラッシュはこう話しています。
「いい質問だね。この曲はやるつもりだったんだけど、誰にやってもらおうか考えていたんだ。そしてブライアンが浮かんだ。ブライアンとはもう長い付き合いだしね。彼の声には、素晴らしい気骨があるんだ。それで彼に電話してみたら、彼はハウリン・ウルフの庇護を受けていた。AC/DCの前にも、GEORDIEの前にもカヴァーバンドをやっていた。それに、彼は今、ブルース・オーケストラのようなものをやっていると言っていた。それについては俺の言葉を引用しないでほしいんだけど、そういうことをしているんだよ。彼はその特別な曲をやることに興奮していた。彼は“最高だ。ああ、やろうぜ”って感じだった。
その後にスティーヴン・タイラーがやってきた。彼は、ブライアンがすでにヴォーカルをとった後に俺のスタジオに来た。正確に思い出そうとしているんだけど…ハーモニカを吹くために来たのか、それともたまたまハーモニカを持っていたのか。思い出せないけど、彼にこの曲を聴かせたんだ。“いいね”って感じだった。とても自然発生的だった。その瞬間にインスパイアされたようなもので、それを捉えることができたのは素晴らしいことだった。特に最近では、ほとんどの人がそのような曲を作らなくなっているかね。これはとても、とても即興的なものだった」
スラッシュは「Killing Floor」についてこう語っています
「“Killing Floor”は俺の大好きなハウリン・ウルフの曲のひとつであり、若いギタリストだった俺を夢中にさせた象徴的なブルースのリフのひとつでもある。この曲を何らかの形でカヴァーしたいとずっと思っていたので、このアルバムでできたのは完璧だった。でも、このバンドで、しかもブライアン・ジョンソンが歌って演奏するなんて当時の俺には想像もできなかった偉業だった。ましてやスティーヴン・タイラーがハーモニカを提供してくれるなんてね……」
ブライアン・ジョンソンはこう語っています
「スラッシュから“Killing Floor”を歌ってくれを頼まれた時、即座にイエスと答えた。この曲は俺が最初のバンドで最初に覚えた曲のひとつだったし、彼がバックトラックを聴かせてくれたとき、それは考えるまでもなかった。スティーヴンのハーモニカもとても熱い。スタジオではスラッシュと一緒に楽しんだし、この素晴らしい往年の名曲を正しく表現できたと思う。ロック・オン」
≫ amass.jp
スラッシュが、AC/DCのブライアン・ジョンソン、エアロスミスのスティーヴン・タイラー、イギー・ポップ、ポール・ロジャースら豪華なゲストを迎え、ブルース・アルバム『Orgy Of The Damned』を制作した。リード・シングル、ハウリン・ウルフの「Killing Floor」(1964年)のカバーにはブライアン・ジョンソン(Vo)とスティーヴン・タイラー(ハーモニカ)が参加。これが実現した経緯について、スラッシュは『Audacy Check In』のインタビューで、こう語っている。
「まず(やりたい)曲があり、誰とやったら素晴らしいか考えようとした。それで、ブライアンが思いついたんだ。ブライアンのことは結構長く知っているし、彼の声には素晴らしい、ガッツみたいなものがある。彼に電話してみたら、彼はハウリン・ウルフの大信奉者なのがわかった。彼はAC/DC、どころかジョーディーより前にカヴァー・バンドをやってたんだ。彼はちょうど、ブルース/オーケストラのことをやってるとこだって言ってた。それ以上は俺に訊くな。でも、それが影響したのは確かだ。まあとにかく、彼はこの曲をやることにワクワクしてたよ。そこが重要だ。挑戦したいカバー・ソングがあり、素晴らしいアーティストたちに依頼するとき、彼らが参加したいと思うこと、俺だけじゃなく、彼らにとっても意味があること、それが重要だ。ブライアンのときは正にそうだった」
「スティーヴンは、ブライアンがすでにヴォーカルを録音した後に、俺のスタジオに来たんだ。正確に思い出してみる……。彼はハーモニカをプレイするつもりで来たか、ただ偶然、ハーモニカを持っていたかだ。思い出せない(笑)。とにかく、彼に曲を聴かせたんだ。“これは素晴らしい”ってことになった。自然に起きたことだ。インスピレーションを得た瞬間って感じで、それを捉えることができるのは素晴らしい。特に最近は、そういう風にアルバムは作られないから。全て熟考、計画、均一化され作られている。これは、その場の思いつきだった」
(Ako Suzuki)
≫ barks.jp