ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュはかつて「人種差別的で同性愛嫌悪」と非難された“One In A Million”を『アペタイト・フォー・ディストラクション』の再発から外した判断について語っている。
ボックス・セット『アペタイト・フォー・ディストラクション:ロックト・アンド・ローデッド・エディション』は、4枚のCD、1枚のブルーレイ、7枚の12インチLP、そして7枚の7インチ・シングルで構成され、全体の73曲のうち、49曲が未発表音源となっている。本作には“One In A Million”を除いて1988年発表の『GN’Rライズ』の楽曲も収録される。
“One In A Million”はかつて激しい批判を受けた楽曲で、そこには「警官にニガー、わかったから、道を開けてくれ。俺は今日はゴールドのチェーンを買う必要はないんだ」、「移民にファゴット、まったく理解できないよ。あいつらは俺たちの国に来て、望み通りにやれると思っている。リトル・イランでも始めようっていうのかよ。あるいは病気でも広めるつもりか」といった一節が含まれている。
この曲の歌詞では「過激派や人種差別主義者」を批判する一節も登場するが、アクセルの言葉選びは当時大きな批判を受けることとなった。
スラッシュは今回、米『ローリング・ストーン』誌のインタヴューで次のように語っている。「俺たちはみんなで、ボックスセットにこの曲が入る余地はないって決めたんだ。決めるまでそう長くは掛からなかったよ。大げさな話し合いとかもなかったしね」
スラッシュは続けて、アフリカ系アメリカ人の母親とイギリス人の父親を持つ自身のバックグラウンドについてどう思うかという質問に次のように答えている。「自分と他の人を色で差別するような能力が俺の中に備わっていたことは一度もないよ。そういうことは子供の頃に何度も経験したからね。学校というのは、自分自身のバックグラウンドをそれまで以上に強く意識させられる場所なんだ」
「自分の好きなことを始めてから、特にギターを弾くようになってからは、大して気にならなくなったけどね。何かをどちらか一方に結びつける必要性なんて感じたことはなかったよ」
「黒人同士が『ニガー』と呼び合っているのに、なんで白人が同じ言葉を使うと突然騒ぎ出すんだ?」とフロントマンのアクセル・ローズは1989年に米『ローリング・ストーン』誌に語っている。「俺はどんな類の境界も好きになれないんだ。何を発言できて、何ができないかなんて言われたくないんだよ。俺は『ニガー』という言葉を使った。というのも、人生における苦痛や問題となる人物を表現する言葉だからなんだ。『ニガー』という言葉は必ずしも黒人という意味ではないんだ」
歌詞の中の「ファゴット」という言葉について彼は「ホモセクシュアルとのひどい体験」があったとして、次のように続けている。「誰かに危害を加えたり、俺に害を及ぼさない限り、彼らが何をしたって構わないよ」
移民に対する直接的な言葉選びについては彼は次のように述べている。「たぶん、僕はもっと具体的な表現をすべきだったね。『セブン・イレブンにいるジョー・シュモラードとファゴットたち、まったく理解できないよ』ってね。でも、そんなのバカバカしいわけでさ! それで、単純に要約して、『移民』と歌ったんだ」
≫ nme-jp.com